メタボリックシンドロームとは

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メタボリックシンドロームは、内臓に脂肪が蓄積しており、血圧や血糖値などに異常をきたしているタイプの肥満です。内臓に脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満と、皮下組織に脂肪が蓄積する皮下脂肪型肥満があります。
内臓に蓄積した脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子やTNF-αやIL-6などの悪玉因子を分泌します。これら悪玉因子はインスリン抵抗性を引き起こし、高血糖になります。さらに脂質異常症、高血圧にもつながり、動脈硬化という血管の老化をおこしやすくします
虚血性心疾患や脳卒中といった危険な病気にならないためにも、食事療法や運動療法による治療を早期に開始することが重要です。

具体的には、必須項目と選択項目の二段階のチェックによって判定します。
まず必須項目で、男性の場合はウエストサイズが85cm以上、女性の場合は90cm以上の方は第二段階(選択項目)に進みます。そして、生活習慣病に関連する血圧・血糖・血中脂質のうち、2つ以上の選択項目で基準値(下表参照)を超えている方はメタボリックシンドローム(メタボ)と診断されます。

メタボの診断基準(選択項目)

脂質値
  • 中性脂肪(トリグリセライド)が150mg/dl以上

かつ/または

  • HDLコレステロールが40mg/dl未満
血圧
  • 収縮期(最大)血圧が130㎜Hg以上

かつ/または

  • 拡張期(最小)血圧が85㎜Hg以上
血糖値
  • 空腹時血糖値が110mg/dl以上

高血圧症とは

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心臓から各器官へと血液が送り出される際に血管壁へかかる圧力のことを「血圧」と呼んでいます。この血圧が基準値よりも慢性的に高い患者さんは、「高血圧症」と診断されます。具体的には、外来時での血圧測定で、収縮期血圧(最高血圧)が140㎜Hg以上、または拡張期血圧(最低血圧)が90 ㎜Hg以上です。

なお、高血圧になったとしても、初期の段階ではほとんど自覚症状がみられません。しかし、血圧が高い状態が続くので、心臓から血液を送る度に強い負荷が血管にかかります。そのため、強い圧力に耐えられるよう血管が硬くなっていきます。

高血圧症の治療

高血圧症の治療に関していうと、まずは食事療法と運動療法を行います。食事療法では、特に塩分量を減らすことが大切です。日本人の1日あたり食塩摂取量は10~11gなのですが、高血圧症の患者さんは1日6g未満とします。また、運動をすることは血圧を下げる効果があるので、軽いジョギングなどを1日30分以上続けることが推奨されます。それでも血圧が下がらないときは、お薬を使って血圧を下げます。実際に使用する薬剤、目標の血圧は、患者さんの年齢や基礎疾患などを踏まえて判断いたします。

糖尿病とは

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詳しくは「糖尿病内科ページ」をご確認ください

脂質異常症とは

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血液中には様々な脂質が含まれています。そのうち、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が基準値よりも高い、あるいはHDL(善玉)コレステロールが基準値よりも低いときは「脂質異常症」と診断されます。具体的には、LDLコレステロール値が140mg/dl以上、中性脂肪値が150mg/dl以上、HDLコレステロール値が40mg/dl未満のときに診断されます。

脂質異常症の治療

脂質異常症は上述のように3つのタイプ(LDLコレステロールが高い、中性脂肪が高い、HDLコレステロールが低い)に分類されますが、どのタイプであってもLDLコレステロールの数値をまず下げていきます。この数値を下げることにより、HDLコレステロールやトリグリセライドも正常に近づくと考えられています。

具体的な治療では、食事療法と運動療法による生活習慣の見直しだけでなく、薬物療法も必要です。食事療法では、食物繊維の多い野菜や海藻類、大豆製品などを積極的に摂取するようにします。その一方、コレステロールを多く含む豚肉や牛肉などの脂身、内臓類、魚卵などは控えます。さらに、軽度な有酸素運動を毎日行い、脂質値を改善させます。お薬によってLDLコレステロール値などを改善することも大切です。なお、食事の内容や運動プログラム、使用するお薬などは患者さんによって異なりますので、詳細については受診された際にご説明いたします。

痛風(高尿酸血症)とは

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高尿酸血症は、血液の中に含まれる尿酸の濃度(尿酸値)が基準値よりも高い状態です。具体的には、血清尿酸値が7.0mg/dL以上の場合に診断されます。もっとも、尿酸値が高いだけでは自覚症状を伴わないため、健康診断や人間ドックの際に指摘され、来院される方が多くいらっしゃいます。

なお、尿酸は水に溶けにくい性質なので、血液中で必要以上に増えてしまうと、尿酸塩となって結晶化していきます。この結晶が足の親指付け根付近などに溜まると、患部が腫れ上がり、激痛を伴うことがあります。これが「痛風発作(いわゆる痛風)」です。痛風に伴う激しい痛みは発症して丸1日程度がピークとされ、その後1週間程度経過すると軽快していきます。しかし、尿酸値の高い状態が続いているので、きちんと治療を受けないと再び痛風発作が起こります。さらに、尿路結石や腎機能障害、動脈硬化性疾患のリスクも高まります。

痛風(高尿酸血症)の治療

高尿酸血症の治療では、主にお薬を使って尿酸値を下げていきます。患者さんのタイプなどを見極めた上で、尿酸の生成を抑制する薬、尿酸の排泄を促進させる薬などを使用します。さらに、生活習慣の改善も併せて行っていきます。食べ過ぎ(カロリーオーバー)に注意し、栄養バランスのとれた食事を心がけます。尿と一緒に尿酸を排出させやすくするため、水分もしっかりと摂取するようにします。プリン体は尿酸値を上げる原因となるので、プリン体を多く含むレバー類やエビ、イワシ、カツオ、干物などは控えます。さらに、軽いジョギングなどを毎日行い、尿酸値を下げていきます。

なお、痛風発作の症状が出ているときは、上記の薬物療法は行えません。非ステロイド性消炎鎮痛薬などを使用して患部の腫れや痛みを抑えます。そして、痛風発作が治まってから尿酸値を下げるお薬を使用します。